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セール表現への長い道のり (その①) ~ニッポン編

ごぶさたしております。
 8月のワンフェス、America's Cup 4艇出品にむけて、準備中であります。
 6-7月は時間がとれなさそうなので、前倒しで準備を完了させておこう..という野望でありましたが。まだまだです。時間は少ないのに、あれやこれやと修正をしていくと、一向にゴールが見えてきません。個人的にお待ちいただいている方、申し訳ありません。もう少しお待ち下さい。頑張ります。



今回は、セール(帆)について。

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船体に対しアンバランスなまでに大きく、鋭いシェイプの三角形.. 
それはまるで、ただ速さを追い求め海原を切り裂いていく刃(やいば)、
もしくは強き風を求め空へ望む翼のよう...
レーシングヨットのその姿において、セールこそが最も美しい構成要素だと私は思います。


America's Cup艇のスケールモデルを自作すると決めたとき、最も悩んだのがこのセールをどう表現するか、でした。船体や各パーツの工作はなんとかなるけど、セールは、ノウハウも無いし、どうしようかなと。実際、船体他の工作と同じくらい、いやそれ以上の時間を、セール+マーキングのデータ作り、出力のトライ&エラーのくり返しに費やすことになったのでした。でも、思いもしない結果や方法が見つけられたりして、それはそれで楽しかったですけどね。

ノウハウが無い、というのは誰もが知りたいけど方法が少ない、という場合もありますが、やる必要のある人が少ないのでノウハウの蓄積が無い、ということに今回はあてはまるかと。よって、今回の日記は参考になる人がいないと思いますが、迷走する自分的記録として、ここに記しておくことにします。そんな独り言だけど、迷わず行くよ!

ちなみに、過去の模型におけるセール表現についてですが、古い歴史のある木製帆船模型では、布地をいかして素材感と風を受けたたわみを表現しています。プラモデルの世界では、古くはエレール、国産ではイマイが
、薄いプラをバキュームフォームで形成し、素材感では布地に一歩譲るものの、作り易さを優先したセールを実現してきました。
(エレールの帆船プラモデルには、名作が多いよ。)

で、America'S Cup艇のセールですが、スピンネーカー等を除き、メインの帆は風をはらんで大きく膨らむこともなく、形状的には平面の薄いシート状のものを少し湾曲させることで表現できそうです。問題は、表面の色・模様です。

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90年代後半から、America's Cupのセールは、黒いカーボン繊維が透けて見える透明+黒の、遠目には黒~グレーっぽい色合いのnorth sail社製のものが主流になりました。2003年のアリンギ艇はこのセールです。
写真は、今回の主題、1992年のニッポン・チャレンジ艇のセールです。このころは、そのセールの変革期にさしかかる少し前、て感じでしょうか。
実際、どんな素材でどういう構成でああいう風に見えるのか、よくわかりません。もし、詳しい方がいらっしゃいましたら、教えて下さい(笑)。

さて、模型を作る上でのニッポン・チャレンジ JPN-26 セールの外観上の特徴としては、

   ●微妙な変化の黄色~ベージュ色
   ●透過性があり、光のあたり方によって結構透けて見える
   ●縁取りとかは白い

といったところですかね。

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で、写真等を参考に、ドロー系でデータをおこします。この時、どんな出力方法にするか決まっていなかったので、MDプリンタでの印刷もありうる、と各色ごとにレイヤー分けして作っておきます。

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通常、模型で自作マーキング、といえば自作デカールです。模型に貼る部分的マークならばデカールの薄さが必要ですが、セールはシート状。ならば、デカールにこだわらずに、シート状のものに印刷して張り合わせればいいじゃんか、と
で、真ん中に挟む中間層用に、文具屋にて、様々な半透明で薄い素材をかき集めてきました。ようは、クリヤファイルですね。どういうことかと言うと、

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透過性がありつつ、縁どりは白。それを表現するために、市販されてるインクジェット用透明印刷シートに表・裏の模様をそれぞれ印刷し、真ん中に半透明なモノを挟んで張り合わせる。すると透過性がありつつ、印刷してない枠の部分は白く見える、はず!


■透明ラベルを水貼りしてみよう

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で、最初に実験したのが、インクジェット用耐水性透明フィルムラベル。
なぜ耐水性が必要かというと。
ラベルなので、シールになっていますが、普通に中間層素材(クリヤファイル)に貼ろうとすると、気泡が入ってキレイにいきません。そして、表側が貼れたとして、裏側は、透けて見える表の印刷にぴったりとズレ無く貼らないといけません。無理です。

こういう時、まず霧吹きに水と一滴の中性洗剤を入れ、中間層面やラベル接着面にたっぷり吹き付けます。で、ラベルを置くと、ゆるゆると動かせますので、位置決めを行い、湿らせたティッシュなどで優しく、素早く中の水を追い出します。こうすれば、微妙な位置決めも可能ですし、気泡もほとんど入りません。窓ガラスに目隠しシールを貼ったり、自動車にステッカーを貼ったりするときに使う方法ですね。

この方法を使うために、耐水性が必要なのです。実際、かなり表面にも水がかかりましたが、ほんの僅かに黒色インクが動いたかな、という程度で、驚くほど耐水性がありました。(余談ですが、この技術がインクジェットデカール用紙に応用できれば、最強なのになーと思いますね。Kトレーディングさん、いかがですか?)

気になった点としては、結構このラベル、厚みがあり(0.15mmくらい?)、表+中間+裏と張り合わせると、結構な厚みになります。実際、やんわりと曲げて湾曲させることができますし、設置してしまえば気にならないのですが。このラベルは類似商品もいくつかありますが、厚み的には同じような感じです。
なお、先日のWHFでの展示完成品はこのラベルを使っています。

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次に試したのが、半透明とうたわれてるラベルです。ちなみに、半透明のもは、このマクセル製のものしか見かけませんでした。
こんどは、中間層を透明な素材にしました。これなら、印刷してない縁の部分が白く見える..はずでしたが、透明度がちょっと高すぎなのと、白が青白く見え、ちょっと違う気がしました。でも面白い素材です。



■今度は、スプレーのりで..

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迷走中、ここでふと思いました。ラベルの水貼りは良い方法だけど、コツもいるし、それをキットを買っていただく方に強要するのもどんなもんかと。

別の方法も模索。。
写真は、デザイン関係ではおなじみ、3Mのスプレーのり77。
と、Kトレーディングのインクジェットデカール用ベーススプレー。

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水貼りではなく、ある程度位置決めが可能な方法は、、、と考え、スプレーのりで貼る方法を試してみたよ。
先ほどの、3Mのスプレーのり77は、吹くと結構荒い目の粉をふいたように白く糊が付着します。で、薄く吹いて30秒~1分以内ぐらいのあいだであればかるく貼ってはがすことができ、位置決めも結構可能です。問題点は、薄くツブツブ状の糊が表面に透けて見えて、透明性が若干落ちる、というところでしょうか。
これならば、ラベルじゃない、つまりシールじゃない透明フィルムも使えることになります。で、試したのが、インクジェット用OHPフィルム。スライド投影に使うヤツですね。
悪くないですが、結構厚みありますね。あと、最後の仕上げに艶消しクリヤーを表面に吹く必要があるのですが、表面のコーティング剤?と反応してか、白く曇ってしまうことがありました。
ちなみに、先述したラベル類にも、スプレーのり貼りは可能です。

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スプレーのりならば、と試したのが半透明紙、紙です。
割と厚手のトレーシングペーパー、て感じです。
これを、今までのラベルやシートの中間層につかったり、また、直接インクジェットやMDプリンタで印刷したり。なお、インクジェット用でない用紙にインクジェットで印刷する場合、普通、にじんで使いものにならないのですが、さっきの写真にあった
Kトレーディングのデカール用ベーススプレーを用紙に吹き付けると、にじまなくなります。類似品が画材店で売ってます。あと、水分を含んだ糊で接着すると紙はゆがんでしまうので、水分の含まない糊を使いましょう。

この用紙、結構お気に入りでした。ざらついた透明感がセールにはいい感じに思えて。コストも安いですし。ですけども、やはり紙なので、経年変化で湿気を含んで変形・ゆがみをおこす可能性が高いので、キットに使うのはやはり難しい、かな。


■戦い終えて。総括。

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結局、現時点での結論としては。
やはりアルプスのMDプリンタでの印刷デカールに、半透明中間層シートでいこうかと。
(何だそりゃー)
MDプリンタは、微妙な淡い色表現のベタ塗りは不得意なのですが、黄色系は網点がさほど目立つことも無く、僅かなムラもセールの模様に見えないこともなく、悪くない。

いや、色々と試した結果としては、「どれも使える」。
が、「キットに入れるには難しい。」ということです。
個人的には、いろいろな表現で楽しみたいと思います。



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ニッポン・チャレンジ JPN-26 (Ver.0.9)

前回予告した通り、今回は先月のワンフェスで公開したもう一艇、日本艇を紹介します。

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実艇について

1992年のAmerica's Cupにおいて、日本からカップへの挑戦に乗り出す人々が現れました。その時の日本初挑戦艇が、このNORC(日本外洋帆走協会
)所属ニッポン・チャレンジ JPN-26です。

当時は日本国内でも結構な盛り上がりを見せ、テレビ中継の実施やスポーツ紙の一面を飾るときもあった程でした。”cupを日本に!”なんて見出しが踊ってましたね。
ニッポン・チャレンジチームは、ニュージーランドからクルーを招き入れ、彼らが日本人クルーをリードするかたちでレースに望みました。日本人クルーには、ヨット歴のほとんど無い一般からの公募クルーもいて、まさに混成部隊て感じでしたね。
スキッパー(艇長)には、
世界最高の技量を持つひとりであるクリス・ディクソン(Chris Dickson)が就きました。(それでニッポンチームに対しては、当時「日本は金でカップを奪い取ろうと考えている」と国際的にもバッシングを受けたりもしましたが。。)

で、カップホルダーであるアメリカ艇への挑戦権を賭けた、
アメリカス・カップ挑戦艇決定シリーズ・ルイヴィトンカップに望み、ベスト4まで勝ち残る、という結果を残しました。カップ挑戦まで駒を進めなかったのは残念でしたが、この年を機に日本でもAmerica's Cupというものが僅かながらでも知れ渡るきっかけになりました。
自分にとっても、世界の強豪海洋国に対して初めて日本が挑戦した艇ということで、とても思い出深いのですよ。

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1992年の
アメリカス・カップは、それまでのレース艇レギュレーションが廃止され、2007年まで続くIACC(International America's Cup Class)という規格が初めて採用されたレースで、このニッポンチャレンジ艇もこの規格に則って造られた艇なのです。

で、前回アップしたAlinghi艇と見比べていただくとわかりますが、同じIACC規格でも別モノじゃないかと思うほど船体の幅が違います。現在の艇の方がスマートで、レーサーて感じでかっこいいですね。

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自作模型について
スケールは1/100、セール(帆)はプリンタで刷れる薄い耐水性フィルムを使用しました。もう少し透過性のある表現ができればいいのですが、なかなか難しいですね。もう少しいろんな素材を試してみます。

さて、この頃のアメリカス・カップ艇は、とにかく秘密主義が徹底していて水面下が公開されている写真が全くといっていいほどありません。公式記録集に載ってる側面図も当然、実物とまるで違います(笑)。そこで、かなりの部分、想像で作ってあります。唯一、というか決定版の資料は、ニッポンチャレンジチームのベースキャンプがあった愛知県蒲郡に展示されているJPN-26なのですが、未だに見に行けていません。いつか、必ず行かねば、と思ってます。
で、ネット上のその展示艇の写真も参考にしてるのですが、新たな写真も見つかり、今見比べると、バウ形状はもう少し直線的だな、あ、ブームの位置が低すぎか、ラダー位置もう少し前かな、とか、多くの点で(特に船体形状)修正しないといけないですねー。

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あと、アペンデージ(水面下のキールやラダー等の付属物)が最も不明点が多い部分でした。特にバルブ形状(船底についてるロケットのような形の部分)は、船の性能を大きく左右するトップシークレットだっただけに、(スパイ事件とかありましたねー)当時の写真は一切ありません。蒲郡の写真をみて想像で作ってはみたのですが、果たしてこれで良いのかどうか..レース当時、バルブにウィングが付いていたかどうかも不明です。どなたか、ご存じの方、教えていただけるとうれしいです(笑)。




とにかく、America's Cup艇のスケールミニチュアが無い!無いなら作れ!、ワンフェスという祭りに自分も参加したい!というふたつの想いを両輪に突っ走ってきましたが、なかなか、実際には初フルスクラッチ、初キット化で困難の連続でした。なんかもう、WFでお知り合いになれたフィギュアディーラーさんとかは神に見えます(笑)。でも、今後も、地味ながらも活動していければと考えています。

今後の予定は、5月のWHF有明で、この2艇をもっていければ、、と。
夏のワンフェスでは、新作2艇を加え、4艇出品を目指しています。
(あとの2艇は、、NZL-32、ESP-97て感じです。)



  

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